日本酒がうまい
日本酒好きの人間にとっては、日本酒はハードな仕事のストレスを解消してくれる。
眠れぬ夜に快眠をもたらしてくれる。人との楽しい語らいのひとときをさらに楽しくしてくれる。そして、その味わいは時に涙が出るような感動と幸福感をもたらしてくれる。
外国に滞在し、何日ぶりかで居酒屋に行き赤身や白身の刺身にあん肝、湯豆腐にカレイの唐揚げなどとともに純米のほどよい燗酒をおちょこに注いで、口からお出迎えと来ると、日本人でよかったと思う。
けれどその日本酒が今、若い人から敬遠されてきていると聞く。飲めない人間に無理矢理すすめたくはないが、飲む人間は飲めない人に出会うとなぜかとても淋しい気分に襲われる。
確かに一昔前飲まされた酒は、大量の醸造アルコールと糖類が当たり前のように添加されて大量生産されていた。
「酒とはまずいもの」と思いつつ、飲んでは口元をべたべたさせ、二日酔いになり、それでも安いだけが取り柄のそんな酒をお酒だと思っていた時期がある。けれど今は事情が違う。
今ほど日本酒文化が花開いた時代はないし、個性ある日本酒がちょっと手を伸ばせば手に入る。
確かに日本酒は、ほとんどが宣伝力を持たない小さな酒蔵で造られており、すばらしい美酒でもめったに有名になることもなく、近くのコンビニで買えるというわけにもいかない。
しかし、日本酒のよさを知ったら、飲まずにはおれないはずだ。
どこの国の料理にも日本酒が
日本酒に合わない料理はない。
独特な香織を持つチーズやあくの強い春の山菜、苦みの強いサザエなどで燗をやっているとき特にそう思う。
丁寧に造った純米酒の原酒、生酒、新酒、濁り酒、古酒、そして燗酒も仲間に入れることを条件にすれば、全世界の料理は日本酒の配下、と思っていい。
その根拠は、日本酒一滴に含まれる香りと味の成分700種にある。
ウイスキーやブランデーで400種、同じ醸造酒のワインだって600種程度というから、日本酒の奥ゆきの深さと豊かさはダントツなのだ。
個性的な味のシェリーやラム酒、老酒(ラオチュー)や貴腐ワインとの共通項を多く持つってことはつまり、それらの国の料理にも十分対応できるということではないか。日本酒が日本料理とのペアで外国の料理店で飲まれる話はそれなりに素敵な話。だが、たったひとりでも世界に通用する国際酒こそSAKE。
もはや「ライスワイン」ではなく「SAKE」は世界共通語だ。
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